NY(ウォールストリート)の外資金融と日系金融機関の両方で働いて見つけた6つの違い

以前、Forbesに出す予定だった記事で、NYのウォールストリートの話を少し書いたと思います。今回は、もっと詳しくウォールストリートについて書けたらと思います。

これがその以前の記事です↓
NYのウォールストリートで働いて考えた、日本で使われる「世界で通用する女性」という言葉について

ご存じの通り、写真はコスプレイヤーとしてのものばかりですが、これでも一応、私は新卒から10年間ファンドマネジャーをやっており、NYのウォールストリートでも仕事をしていました。
その時の経験で感じた事を書きたいと思います。

ちなみにこれは数年前のお話です、あと、私は全部の会社を見たわけではなく、あくまで、バイサイドのファンドマネジャーとして米系大手外資金融の投資部門にてアメリカ人の同僚たちに囲まれて過ごし、ウォールストリートにある色々な会社(主にヘッジファンドやPEファンド、証券会社のセルサイド系の人達です)の人達と仕事をすることで経験したことを書いています。

①日本のような「飲み会文化がない」

日本だと、仕事が終わった後に飲みに行ったりします。
向こうでは「飲みにケーション」というのはまず存在しません。
もちろんDrinking Partyはありますが、でも、それは、すぐに終わります。
「家族とのディナーがあるから」
「家族が待っているから」
という理由を当たり前のように言って、みんな早々に切り上げて帰っていきます。

日本は、キャバクラ接待とかも健在だと思います。
露骨なキャバクラ接待以外でも、日本では、私がバイサイドで働いている時も、対おじさん向けなのか、見目麗しい営業の人が、新しい投資プロダクトの営業に来たりしていました。

向こうはまずキャバクラ文化が存在しません。
アメリカには、アメリカ版キャバクラである「ピアノバー」というものがあります。
でも、そこに行くのはアジア人(日本人)ばかりで、女の子もほぼ日本人です。

外人向けガイドブックLonely Planetで日本を紹介する文を見た時に、日本の性に対する比喩がすごく深い、みたいなことが以前書かれていました。
要するに日本は欧米に比べて「慎み」「恥じらい」の文化であるにもかかわらず、比喩で隠してるだけで、裏では性産業がめちゃくちゃ栄えているという事なのかもしれないです。

向こうでは、男性が夜遅くまで女性と「仕事の延長で」飲むという文化はありません。
セクハラ等に対しては日本以上に厳しい企業風土な上、日本に比べ、女性が何かあったら声を大にして主張するのが当たり前なので、そういうリスクを考えても男性はそのような羽目の外し方はしません。

②お互い様に最大効率こそが全て

これは、M&Aとかをやっている投資銀行とかは例外かと思うのですが、基本、向こうでは、定時近くには仕事を終えてみんな帰ります。
間違えても「サービス残業」とかやりません。

あと、上司が残っているから帰れない、とかいう文化も一切ないです。
むしろそういう事をやっていると「お馬鹿さん」と思われるリスクすらあります。
仕事を長い時間やっている人間は出来ない人間、という風な認識です。

ただ、その代わり、朝はめちゃくちゃ早いです。
向こうでは、大事な会議やビジネスミーティングは全て朝、もしくはランチの時間に済ませます。
日本だと接待やビジネスまがいの飲み会を夜にセットし、遅くまで働くという文化があると思いますが、そこに関してはアメリカは逆です。

私がアメリカに行って向こうの人に一番聞かれたのは、
「日本人ってワーカホリックなんでしょ?」
という質問でした。

また、同僚たちは常に「次はどこの会社に行こうか」と考えています。
1つの会社でずっと働き続けるという意識はかなり薄いです、ともすればそれは「出来ない人」とも取られます。
会社に雇ってもらっているのではなく「お互いに納得できる条件だから今はとりあえずここにいるんだ」という感じです。
よって、給料交渉はかなり合理的であり積極的です、ハッキリと「~でこれだけ貢献したから、~もらって当たり前だ」と言います。それが普通ですし、黙って頑張っている姿を上司が見てくれていて給料を上げてもらえるなんて微塵も思っていない感じです。

③持ってて当たり前のMBA

MBA持ってる?なんてアホな質問はしないです。
だって、みんな持っているからです。
基本的にハーバードとか、あとはNYの土地柄コロンビアのMBAを持っている人が多いです。
金融という事もあり、ウォートンのMBAを持っている人も結構います。

「で、どこのMBA?」というところから会話がスタートする感じです。

④意外とフリーダムではない

人によっては「アメリカは自由でより価値観が広い!」という人もいるかもしれないですが、金融だからかもしれないですが、私は現地で物凄く学歴主義を感じました。
あと、めちゃくちゃ唯物主義です。

ちなみに私は慶応大学を出ましたが、慶応大学の事は誰も知りませんでした(笑)
ついでに言うと、東京大学と言っても、あまり知らないと思います。
私は在学中にケンブリッジ大学に少しの間留学したのですが、ケンブリッジ大学という名前まで出て「あ、知ってる」って感じでした。

女性に対しても、出世では日本ほどじゃないにしろ壁があると言いますし、また、アジア人というのも出世に少なからず影響すると聞きました(これを示唆するバンブーシーリングという言葉もあります)。

⑤ダイレクトだけど日本より露骨な媚び

向こうでは「発言しない人はいない人」というのは本当です。
日本だと和を保つことが大事にされ、その結果遠慮して意見を言わない場合も多いですが、向こうだとその場合は真っ先に「使えない人」になります。

また、日本だと、ある程度以上の大企業は、平社員は部長や役員クラスに直接意見を言う事すら許されません。
ですが、向こうだと「筋が通ってさえいれば」平社員でも部長に意見できます。
ただし、筋が通っている場合のみです、その覚悟も含めて評価される感じです。

あと、根回しは日本特有の文化かと思います、向こうだと、根回しというものはないですが、媚びはあります。
自分が取り入りたい人に露骨に媚びるんです。
これは分かりやすい位にストレートです、日本とは少し形が違いますが、でも、向こうの人が何でも好き勝手自分の意見を言うのかというと、そうではなく、そういうところでは賢く忖度しています。

あと、日本特有の「察する」文化は存在しないです。
ないものはない、忘れたものは忘れた、いちいち主張しないと出てこないです。
お願いしたものが一度言っただけで出てこないのは、怠惰でも意地悪でもなく、ただ「忘れた」んです。

⑥週末何した?とかのプライベート会話がデフォ

日本人は内と外を明確に分けると思います。
向こうでは内と外どちらも共有します、だから、ホームパーティに自分のパートナーを連れて行くとかも普通です。

同僚の家族と面識を持ちます、そして、週明けにはお互いに「週末何した?」と話します。
皆お互いにそこでキャンプに行ったよ~、ホームパーティしたよ~、と自分たちの話をします。日本だとそれがともすればあまりにプライベートに踏み込みすぎた会話、とも取られがちですが、向こうではこれは普通です。

また、向こうの方がよりLGBTについても日本より理解が進んでいるため、ゲイのパートナーを連れてくる事も普通です。
日本だとドン引きするか、その場では黙って後から陰で噂する…とかもあると思いますが、向こうでは、それはIt is not such a big dealです。ウォールストリートですらそうでした。

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こんな感じです、少しでも参考になったら嬉しいです。
ちなみに、当時は20代でNYでバイサイドのフロントとして働きましたが、同年代で同じ仕事をとしている日本の人があまりおらず、凄く狭い世界で、なんだか寂しかったです。